日本のロックをダメにしたのは、ここに集まったテメーらだ!」
これは1996年の1月19日に、日本コロムビア(現コロムビアミュージックエンタテインメント)からのメジャーデビューを控えて、全国の関係者を集めたコンベンションを実施した際に、その宴の最後の挨拶でチバが発した言葉でした。普通に考えれば、「多忙な中、遠方からも集まった・・・これから世話にならんとしている大勢の方々へ対して、お前、何考えてんの?この酔っ払い!」となりますよね?ところが、会場にいる関係者は、主催のコロムビアスタッフも含めて、全員が割れんばかりの拍手で、この言葉を受けとめたのです。これを聞いた会場の方々は「それって俺じゃないよな?」等と思いながらも「ロック」と云う歪で型破りな筈の音楽をルーティン化してしまっている・・・とでも云うような、抱えていたモヤモヤを吹き飛ばされたのかも知れません。勿論、この宴の前に有無を言わさない圧倒的なステージがあってこその文頭の言葉ですが、今思えば、こんな物言いが彼等の精一杯の愛情表現のようなものだったのかも知れません。
・・・と云う出来事から始まって、バンドは、日本のロック史に大きな足跡を残し、「ダメな日本のロック界」を改善する事に大いに貢献、その後、解散・・・。僕はと言えば、コロムビアを退社し、会社を立ち上げて7年・・・。もはや、元メンバー達とは仕事上の付き合いは無くなりましたが、タイミングが合えば各々の現バンドのライブへ行ったり、飲み屋(主に打上会場)でばったり会えば、酒を交わす機会もあります。そんな時、気持ち悪いのですが、久々に同級生に会ったようなフワッとした不思議な感情が生まれます。さらに気持ち悪い表現ですが、「暖かな気持ち」と云う感情も生まれます。そう云うイメージのバンドではないし、彼等自身、そんなメッセージは発していないにも関わらず、そんな感情を抱かせると云う不思議なバンドマン達ですね。
今年の7月、ギターのアベの訃報を聞きました。最後に彼に会ったのは、2006年、その時の彼の在籍していたバンド「KOOLOGI 」で来ていたARABAKI ROCK FEST.の会場でした。慌しく話す中、彼の言葉と僕の言葉が、かぶりまくったのですが、彼は、不思議な位の爽やかな顔で、3回も「元気っすか!?」を連発したのを今でも鮮明に覚えています。
最後に・・・一般の方々には意味不明ですが・・・アベ!中原によろしく!おつかれちゃん!
小林英樹/ラップランド